てなもんやサウンド笠 2012年5月19日放送分

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『Cooke’s Tour』/Sam Cooke
(ソニー SICP-20320)

オンエア曲:
「パリの空の下(Under Paris Skies)」
「ジャパニーズ・フェアウェル・ソング(The Japanese Farewell Song)」

※解説
まさいよしなりが今週ご紹介する音源はこちら。
サム・クック。言わずと知れたブラック・ミュージック界の大スター。
洗練されたスタイルによって広いファン層からの支持を勝ち得た
偉大なシンガーであるのみならず、当時のアメリカにおける
公民権運動に対する意識も非常に高く、そして33歳という若さで
非業の死を遂げたということでもよく知られている人物である。
彼はもともとゴスペルの世界でアイドル的な人気を博しており、
その後ソロ歌手としてR&Bに転向し、新たな才能を開花させた。
1960年にRCAに移籍した彼だが、このRCA時代の作品群は
権利関係の問題により永らくオリジナルの形でCD化されることが
なかった。それがこのたび念願叶っての国内初CD化、しかも
紙ジャケットならびに最新リマスターでの発売となったのである。
今回再発された8枚の中で、初期の2枚は実に異彩を放っている。
まず今日ご紹介する「Cooke’s Tour」は1960年にリリースされた
彼のRCA移籍第一弾のアルバムで、世界の国や都市に因んだ
ポピュラー・ソング集。次なる「Hit Of The 50’s」は1950年代に
アメリカでヒットした曲の数々をサム・クックがカバーした一枚。
それ以降にリリースされたアルバムで聴くことができるR&B色濃厚な
サム・クックとは違い、これら2枚は企画盤としての意味合いが強く、
要はレコード会社の要望により制作されたものと思われる代物だ。
つまりこれらのアルバムは、R&Bシンガーとしての彼を愛好している
ファンにとっては邪道であり、概して評価が低いのが実情と言える。
しかし、彼の「歌い手」としての懐の深さ、才能の豊かさ、そして磐石な
歌唱力が如実に現れているのも事実で、聴く程に興味深い作品である。