てなもんやサウンド笠 2013年12月21日放送分

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『伝説の歌声 北廉太郎「ヴォルガ旅愁」』
(ぐらもくらぶ/メタカンパニー G10008)

オンエア曲:
「潮来夜船」(1939年)
「青春の丘」(1939年)

※解説
まさいよしなりが今週ご紹介する音源はこちら。
北廉太郎は昭和初期、戦前・戦中にかけて活躍した流行歌手。
田端義夫のカバーでも知られる「潮来夜船」をはじめ、幾つもの
ヒット曲を生んだ、押しも押されもせぬスター・シンガーである。
活動当時の年齢もまだ十代と若く、後世で言うところの「アイドル
歌手」的な立ち位置にあって、大変な人気を博したのであった。
デビューは1936年、16歳の時。タイヘイレコードから、紀多寛の
名で「男の涙」を発表。のちに大手レーベルのポリドールへ移籍し、
その際「北廉太郎」に改名。「滝廉太郎」をもじって付けられた。
かくして人気歌手となった北廉太郎であったが、1940(昭和15)年、
20歳という若さで病気によりこの世を去っている。そのため、
戦後まで歌い続けた同年代の歌手たちと比べ、圧倒的に知名度が
低く、一般にはほぼ忘れ去られていたというのが実情であった。
もちろん音源がメディアで流れることも皆無に近く、その歌声が
ビニール盤などの形で復刻されることも一切なかった訳である。
そして、遺された数多くのSP盤だけが当時の彼の人気を物語り、
それを知る一部の人だけによって語り継がれるのみだったのだ。
そんな彼の死から73年を経た今年、ついに北廉太郎の名唱が
CDとなって奇跡の復刻を果たし、我々の耳に届けられるに至った。
彼の歌声は実に甘くしなやかなクルーナーで、人気を得るのも
うなずける見事な歌いっぷりである。今回のCD化を契機に、
昭和の歌謡史を彩る歌い手の一人として彼の名前がもっと多くの
人々の心に刻まれるよう強く願ってやまない。そして遺された作品の
数々がますます聴かれ、「生き続けて」欲しいと衷心より祈念する。