2013第9節対愛媛FC

「V・ファーレン長崎とのバトルオブ九州に敗れ、折れかかった
ファンやサポーターの心をつなぎとめることができるのか」
と中継の冒頭で、実況を切り出しましたが、
試合後、折れそうになった選手たちの心をつなぎとめたのは他ならぬ
ファンやサポーターたちでした。
ゲーム前日、
39番FW北嶋秀朗選手は、
「長崎戦は、空回りすらさせてもらえなかった。浮遊しているような感じ。
動いていないとエネルギーは出ない。
今回は、空回り大歓迎。噛み合えば、大きなエネルギーが出る」
と強く語りました。
以前、こんなことがありました。
北嶋選手がロアッソに移籍した昨シーズン、
「ゴール前に入っていく感覚」という言葉を使って質問した私に対して、
「感覚じゃないんです。自分のゴールについては、
『なぜ、そこに入っていったのか』、『なぜ、そういうプレーをしたのか』、
すべて言葉で説明できます」
と北嶋選手は応えました。
ピッチのなかでの熱い姿に、どうしても
「気迫」とか「気合い」とか、そういう表現をしたくなりますが、理論派なのです。
愛媛戦を前にした取材でも
「本当は『気持ち』とか、そういう言葉だけでプレーするのは、大嫌いだけど」
と前置きしたうえで、
「自分たちのプライドをかけて戦う。根性を見せられるか」
と、相当な覚悟を語りました。
実際にキックオフ直後から
前線で激しくプレスをかけ、
左右のクロスに対しては、得意のニアーサイドに飛び込み、
その度に「今のボールは違う」「今のボールはいい」と
チームメイトに、大きなジェスチャーで、メッセージを送り続けました。
さらに、後半、3本連続でつかんだCKのチャンスには、
ゴール裏のファンやサポーターに
「もっと、もっと、もっと」
と腕を上下させて、応援のボルテージアップを促しました。
その声も、中継の集音マイクを通して、伝わってきました。
しかし、ゴールを奪うことはできず、後半35分に交代。
さらに、後半アディショナルタイム、それも3分。
愛媛18番MF加藤大選手に、直接FKを決められます。
ラストプレーの失点で、敗戦。
あまりにも、ダメージ、ショックの大きい結末となりました。
「勝つこと以外何もないなかで、プレーに入った。
選手全員、きょうの試合に関しては、ものすごく魂込めた試合をしたと思う。
そういう試合ができているのに、勝ち切れなかった悔しさとか、
そういうのが、今はすごく辛い」
ベンチの隣で、しばらく立ち上がれなかった北嶋選手。
うなだれる選手たちを迎えたのは、
ファンやサポーターのブーイングや怒号ではなく、
サポーターソング「ロッソとともに」でした。
「ロッソとともに我らは生きる。叫び、飛び跳ねる。きょうも勝利のために」
止むことのない、魂の込められた歌声が、スタジアムに響きました。
「サポーターが僕たちを支えてくれた。
自分たちの大きな最後の支えになってくれていると思う。
サポーターが、僕らを支えてくれるということを表現してくれたことに
本当に感謝の気持ちが強い。ありがとうと心から思う。
結果で応えていかないといけない」
と北嶋選手は、思いを語りました。
「逃げた人とか、あきらめた人とか、駄目だと思っている人のところには、
成功は絶対に生まれてこない。
スタッフ、選手、サポーター一緒になって乗り越えよう、
乗り越えられると信じている」
と必死に前を向いた北嶋選手を、ピッチで、90分、見たかったとも思います。
山崎雄樹