2013第33節対東京ヴェルディ

「時には辛くて苦しくて、腐りそうなときがあったけど
『サッカーが好きだからやってるんだ』と自分に言い聞かせて
『毎日、楽しくサッカーをやろう』という気持ちからはじめた」
リーグ戦11試合ぶりのスタメンとなった10番FW養父雄仁選手の言葉です。
こういう言葉を聞くと、正直なところ泣きそうになります。
スポーツを通して、夢や勇気を届けたい―
挫折を乗り越え、苦悩を抜け出す力になってほしい―
スポーツ実況アナウンサーとしての目標です。
実況中継にむけた準備は、厚く、念入りに、行います。
「その試合に関わる人たちにとって、熱く、深く、重い、一生に一度の一戦。
それを伝える自分が、同じぐらいの責任感や使命感を持って臨まなければ、
その試合を伝える資格はない」
と思っています。
また、取材を通して、出会った方々や言葉の数々は、
自分を律する糧になっています。
ただ、錯覚してはいけないのは、
自分は「一流の~」と言われるその人になったわけでもないし、
その言葉を、完璧に実践できているわけではないということ。
アナウンサーとしてキャリアを積み、社内でも若手から中堅となってくると、
なかなかその立ち位置も難しいものです。
世代間のギャップや時代の流れに乗った新しいルールのなかで、
自分の考えや基準を伝えることは、簡単なことではありません。
ここ数週間、間接的にも、直接的にも、まわりで、
自分の基準に照らし合わせば、大なり小なり「ミス」という出来事が
連続して起きています。
「人を許せる人間になろう」と思ってみても、
それは大変なことですし、
指摘をしても、真意が伝わらなければ、
相手も、自分もダメージを負い、お互いにしんどいだけです。
ましてや、たとえ正義感をふりかざしても、凡庸とした反応を返されれば、
こちらが疲弊するだけですし、
その一方で、「もう関わるまい」と距離を置くと、孤立無援な感じに襲われます。
自分の話が長すぎました。
養父選手の「サッカーが好きだから」という言葉は
私の「アナウンサーという仕事が好き」という核心を思い出させてくれました。
昨シーズンは、エースナンバー10を背負い、チームトップの40試合に出場、
まさに、ロアッソの中心選手だった養父選手。
しかし、今シーズン、
7月3日の第22節愛媛FC戦以来10試合スタメンから外れ、
リーグ戦出場も、7月7日の第23節松本山雅FC戦、
途中出場で14分プレーしたのを最後に、9試合ありませんでした。
前半29分、ミスからヴェルディのカウンター攻撃を受け、
先制を許したロアッソですが、
前半37分、
「自分の持っているものをぶつけてやろう」と臨んだ養父選手が、
自陣から左サイド深くにロングパスを送ると、
7番MF片山奨典選手が中央へクロス、11番FW藤本主税選手がスルーし、
13番MF大迫希選手が、左足を振り抜くと、2試合連続ゴールで同点に。
さらに、後半37分には
2番MF黒木晃平選手がドリブルで持ち上がったボールを預かると、
「最初はゴールを狙ったけど、(17番FW齊藤)和樹がフリーでいた」
と右45度のスペースに絶妙のパスを送り、
齊藤選手の逆転ゴールを演出しました。
2対1で、リーグ戦8試合ぶりの勝利、
ホームゲームは5月3日の第12節水戸ホーリーホック戦以来11試合ぶりの勝利。
ロアッソのエンブレム、跳ね馬は、
藤崎八旙宮秋の例大祭の飾り馬がモチーフです。
祭のハイライト神幸行列が行われたこの日、スタジアムは歓喜に包まれました。
「僕自身、悔しさをずっとためていた。
サポーターと同じぐらい悔しかった。
頑張れば、こういう結果が出るんだと思った」
と養父選手は、サポーターとともにつかんだ勝点3を喜びました。
山崎雄樹