J2第27節対ジェフユナイテッド千葉

「失礼します」
報道陣が選手を取材する「ミックスゾーン」でインタビューを受けた後、
その選手は、律儀にそう言って、私たちの前を後にしました。
「お疲れ様です」、
または、
こちらの「ありがとうございました」という挨拶に
「ありがとうございました」と返事をくれる選手は多くいるなかで、
自ら「失礼します」と言って、
インタビュー場所を離れた選手は、
10年間、プロサッカーを取材していて、初めてです。
この試合、後半31分から、37番MF高柳一誠選手。
J1ヴィッセル神戸から期限付き移籍で加入したばかりです。
試合は、
古巣千葉との対戦、
8試合ぶりのスタメンで後半43分までプレーした
36番FW巻誠一郎選手が
「僕らにしては、アグレッシブなゲームができたと思う」
語った通り、
試合内容への充実感と、
引き分けという結果に対する悔しさが混在するものでした。
とは言え、
昨シーズンから今シーズンの第1クールまで、
3対0、6対0、3対0と大差で敗れていた千葉を相手に引き分け、
昨シーズンハットトリックを含む2戦5ゴール、
今シーズンも第1クールの対戦で初ゴールを献上した
昨シーズンのJ2得点王、9番FWケンペス選手をシュート1本に
封じ込めた戦いぶりはすばらしいものでした。
なかでも、
「アグレッシブにボールを奪い、アグレッシブにボールを動かす」、
小野剛監督が掲げるサッカーが、
まさに体現されたのは、後半41分でした。
千葉のケンペス選手のシュートを1番GK畑実選手がセーブし、
7番DF片山奨典選手がPA内からクリア、
ただのクリアにとどまらず20番MF澤田崇選手につなぎ、
澤田選手が
17番FW齊藤和樹選手とのワンツーからドリブルで仕掛けます。
巻選手が、前線に走り込み、相手選手を引き連れてスペースを空け、
そのスペースを有効活用し、さらにドリブルで仕掛ける澤田選手。
一度、千葉にボールを奪われかけますが、
齊藤選手が、すぐにサポートに入り、ボールを奪い返し、そのままキープ、
ペナルティエリア手前の澤田選手へパス、
そのパスを澤田選手がスルーし、27番MF中山雄登選手へ、
さらに、中山選手がワンタッチパスで、右45度の高柳選手へ。
高柳選手の強烈なミドルシュートは枠をとらえますが、
千葉GK1番岡本選手がセーブ、
ロアッソの選手も詰めようとしましたが、相手DFにクリアされ、
惜しくもゴールなりませんでした。
高柳選手は
「自分にも決定機があったし、そこで決め切れなかったことがすごく悔しい。
チームとしても、引き分けという結果だったし、次に勝点3を取れるように、
準備していきたい」
と振り返ったうえで
「攻撃のときは自分の特長を出せたと思う。
あとは守備のところでもう少し強く行けて、マイボールにできる能力がつけば
チームのプラスになると思う」
と収穫と課題を口にしました。
2004年から2011年までサンフレッチェ広島に所属し、
2006年まで小野監督の下でプレーした経験を持ちます。
「サッカーに対して、選手に対して、情熱がある。
そのなかで、チームとしてどれだけ一丸となって上をめざして行けるか。
懐かしさもあり、熱意をすごく感じている」
と8年ぶりに小野監督の指揮するチームでプレーした感想を語りました。
二度にわたる左膝前十字靭帯の大怪我を乗り越えてきた今を
「サッカーで選手でいられることを幸せに思う」、
今回の移籍について
「呼んでもらって嬉しい」
と話す高柳選手、
かつての恩師の下でプレーする新天地での活躍を願ってやみません。
山崎雄樹