『 8度目の春 』 と ごあいさつ

福居万里子です。

 

熊本地震 発生から8年。

日数にして2900日以上が経過しましたが、数字にしてみると実感がわきません。

 

このアナウンサーブログの中で 後生川アナウンサーが

“ 「 あっというまの8年 」なのか「 まだ8年 」なのか ” というような問いかけをしていました。

 

私自身は どちらなのだろう

 

熊本地震 発生の1年後にRKKに入社してからの自分の取材を振り返ってみました。

 

まず、ニュース原稿を書く専用の端末で

『 熊本地震 』、『 福居万里子 』で検索すると、200件ちかくの原稿が見つかりました。

最も古いものまで遡ると、その日付は2017年4月12日。

タイトルは、「 益城町の小学校で給食再開 」。

―― そう、そうでした。

 

熊本地震で被災した益城町の給食センターは、長い間 使えなくなりました。

2年生の子どもたちは入学してすぐに被災したため、

それまでに2日間しか給食の経験がなく、

被災してからの1年間は業者などが届けてくれる弁当などを食べました。

久しぶりの給食には、温かいクリームシチューと新鮮な果物などが並びました。

といっても、この日の給食も、町内でつくられたものではありませんでした。

被災した益城町の給食センターが再開するまでの間、熊本市や御船町の調理場から給食が届けられました。

―― そう、そう。

そして、これが私がRKKに入社して初めて取材し放送したニュースでもありました。

原稿を見返せば そのときの記憶が鮮明に蘇りましたが、検索してみるまで忘れていたような気もします。

 

これで “ 7年前 ” なのですから、

“ 8年 ” という月日は、それ以上のもの、ということでしょうか。

 

熊本地震が発生してから、RKKの前に務めていた福岡の放送局での勤務を含め、

毎年 熊本地震に関する取材を重ねてきました。

 

被災した図書館が再開するまでの道のり

青森からエールを届けようと、熊本でねぶたが跳ねた夜

被災者を無料で招き “ 心の復興 ” を願ったサーカス団

益城町の復興を見つめてきた野球少年

全線復活の日を目指し続けた南阿蘇鉄道

防災という視点で進められた新たな街づくり

 

そして この春は、

『 熊本城 宇土櫓の “ 今 ” 』

『 被災地の孤立化を想定した熊本の取り組み ~ 天草で地震が起きたら ~ 』

私自身の取材も『 復旧・復興 』から『 これからの防災・減災 』というものが多くなってきたように思います。

 

ことし1月に放送した報道特別番組『 スローなニュース 』で取材を受けてくださった、

熊本地震で家族を亡くした遺族の言葉が、今も頭から離れません。

 

“ かわいそう、で終わらせないで ”

“ 未来に、次に つながる放送を ”

 

『 節目の日 』は過ぎましたが、

災害からの復旧・復興、そして 防災・減災への備えに区切りは ありません。

 

―― 自分自身に言い聞かせる、8度目の春です。

 

 

そして、タイトルにもありますように 『 ごあいさつ 』 も――

 

第二子を授かり、もうすぐ出産予定です。

出産・育児のため、4月中旬をもって お休みをいただきます。

 

最後の最後まで取材・放送に携われたのは、家族や職場の仲間のサポートあってこそでした。

( RKKラジオ「 午後2時5分 一寸一服 」は 上岡アナウンサーにバトンタッチ )

 

( RKKラジオ「 アナぐらむ 」では “ お暇 ” をテーマに産休入りを報告 )

 

( RKKテレビ「 夕方Liveゲツキン! 」熊本地震 本震発生の日に出演・解説 )

 

ラジオで妊娠のことを報告したり、テレビで大きなお腹が映ったりするたびに

視聴者のみなさまから励ましのメッセージが届いていたとも聞いています。

本当にありがとうございます。

 

きっと無事に出産し、しっかりと家族に向き合い、

いっそう “ 母親目線 ” を養い、元気に戻ってきます。

 

それでは、いってきます!(^^)

今年度も熊本自慢をお届けします!

 

TBSの朝の情報番組THE TIME,

今年度最初の列島中継は、八代市からハチミツ採取の様子を紹介しました。

熊本は全国的に見ても、ハチミツの生産量が多い地域!

西岡養蜂園で採れたてのレンゲのハチミツを紹介。

フレッシュでまろやかな甘さのハチミツは

直売所のほかにインターネットでも購入することができます。

是非、味わってみてくださいね。

これまで、県内各地の美味しいもの、素敵な人、楽しいスポットなどなど

熊本の魅力を全国にお届けしてきました。

少し振り返ってみても本当にユニークです!

去年の夏に紹介した阿蘇ネイチャーランド。

スリル満点で、こどもから大人まで楽しめるポッカ―ル!

これからが気持ちの良いシーズンですね。

 

かつ美食堂のホルモンも、地元が誇る熊本の名物グルメです!

全国的にみると馬ホルモンは珍しい!!

頼み方も、「中・中」「大・中」と、

ホルモンとごはんの量を続けて頼むユニークなスタイルはお店ならではの魅力でした。

 

こちらの方も、熊本の名物マスター!

ビアホールMANの村田善則さん!!

全国のみなさんも虜になったはずです!

 

そして、秋には山太郎ガネを紹介。

貴重な蟹の美味しさを紹介しました。

そのままはもちろん、みそ汁やガネ飯も絶品でした。

リハーサルで蟹に指を挟まれたのも今では良い思い出です(笑)

 

冬の味覚も!

魚に冬と書いて

鮗=コノシロ!

コハダの出世魚で熊本ではメジャーな魚ですが

スタジオのみなさんは驚いていましたね!

ちなみに、ここでこっそり打ち明けると・・・

実は、放送で使ったのは、色画用紙を切り貼りして作ったお手製フリップでした!

またいつか、切り貼りの特技を活かす出番はくるでしょうか(笑)

 

ほかにも、寒さが美味しさを連れてくるものもありました。

小国町の中でもほんの一部でしか育てていないという貴重な野菜、黒菜。

温泉の地熱の蒸気で蒸して味わうのも地域ならではの特徴です!

 

そして、こちらは春の訪れを告げる野菜!

阿蘇の高菜です。

ごはんが進むごちそう、高菜漬け。

熊本の春になくてはならないグルメとも言えそうです!

 

こうして振り返ると、季節ごとに熊本の魅力があるなあと、改めて感じます。

住んでいると当たり前のように感じそうで、でも実は特別な良さが隠れているのかもしれません。

そんな県内の魅力を、これからも発信していきます!

 

列島中継はあさ7時45分頃から!

是非、ご覧ください♩

 

 

 

 

熊本地震から8年

2016年に起きた熊本地震から8年が経ちました。

あっというまと感じる方もいれば

まだ8年 と感じる方もいらっしゃると思います。

 

8年前、私は関東の大学に入学したばかりで、

「ついこの前まで過ごしていた熊本が?」「本当に?」という気持ちばかりで

すぐには状況が理解できませんでした。

当時の不安や恐怖というのは、実際に被災した方々とはくらべものにならないと思います。

ただ、変わり果てた熊本を知るのが怖くて怖くて、

ニュースも見られなくなったことを覚えています。

 

 

今日、私は2度の震度7を観測した益城町に取材に行ってきました。

役場は地震の被害を受け、仮庁舎での業務が続いていましたが、去年新たな庁舎が完成しました。

そして、役場のすぐ隣には、『震災記念公園』があります。

震災の記憶の継承と住民の交流の場所として、去年6月に整備された場所です。

芝生には、たくさんの竹灯籠が並んでいました。

益城を想うメッセージや

熊本地震を風化させないというメッセージなど

それぞれの思いが記されていました。

 

今年に入って大きな地震があった能登や台湾への応援メッセージも多かったです。

地震で大きく傷ついた熊本が、8年たって、次の被災地を応援する。

今度は私たちが支援する番!という気持ちが伝わってきました。

 

 

 

こちらは、先日訪れた「阿蘇高森サクラミチ」

近くの造園会社が、熊本地震の復興を願い、およそ1.5キロにわたって

サクラを植えたそうです。

いつまでも眺めていられる 本当にきれいな景色でした。

 

春になると、暖かくなってサクラが咲いて、ぽかぽかとした、穏やかで幸せな気持ちになります。

でも、熊本地震のこと、そしてあのときの気持ちはこの先もずっと忘れたくないと思います。

 

 

災害発生!そのとき、天草は――

防災士になって6年が経ちます、福居万里子です。

 

先日、ゲツキン!特集を制作するために取材で天草に行ってきました。

訪ねたのは、天草広域連合消防本部です。

 

『 およそ半数 』

これは、ことし1月に発生した能登半島地震における “ ある数字 ” です。

 

大きな災害が起きると、消防庁は全国各地にある「 緊急消防援助隊 」という組織に出動を指示します。

熊本地震でも、県外のいろんな自治体の名を背負った消防隊員が熊本に駆け付け、活動していたのを覚えている方も多いでしょう。

あの方々です。

 

この「 緊急消防援助隊 」、能登半島地震でも もちろん出動したのですが、発生から72時間以内に被害集中地域に辿り着けたのは 『 およそ半数 』 だったのです。

 

救助を阻んだのは、『 半島 』という特有の地形でした。

さらに土砂崩れや陥没によって道が絶たれたほか、海底が隆起したことで漁港も使えず、航路での支援も難しく、被災地は孤立しました。

 

こうした事態は、熊本も他人事ではありません。

( 熊本県 危機管理防災課 三家本 特別顧問と )

それが、今回 私が注目した ≪ 天草地域 ≫ です。

 

天草で街頭インタビューをしてみると、

「 天草五橋が使えなくなったら・・・ 」

「 海岸沿いの道路で土砂崩れが起きたら・・・ 」

と、やはり『 島 』ならではの不安をみなさん口にします。

 

では、実際に孤立してしまったら、どうなるの――?

 

いま、熊本県内、そして天草では さまざまな事態を想定した訓練や備えが進められています。

今回、その最前線を取材しました。

夕方Liveゲツキン!特集

『 災害発生!そのとき、天草は ~ どうする?被災地の孤立化 ~ 』

放送は、熊本地震 本震発生から8年となる 4月16日(火) です。

ぜひ、ご覧ください。そして、防災・減災について いっしょに考えましょう。

 

真面目な企画では ありますが、カッコイイ車両なども登場します!

ぜひ お子さんたちにも見てほしいです(^^)

( きっと、消防士さんに憧れちゃいますよ )

新年度!

みなさん、お久しぶりです。

上岡 梨紗です。

4月になり、新年度!

熊本での生活も3年目を迎えしました。

今年度もよろしくお願いします♪

 

春はワクワクすることがたくさんありますよね。

 

まずは、桜の開花🌸

開花宣言かと思えば、気温が上がって夏日近くまでになる日も。

桜は花が咲くまで時間がかかりますが、

咲いてから楽しむことができる時期は本当に短いんですよね…儚い😢

その短い時間を大事に楽しみたいですね🌸

 

そして、熊本で春の楽しみといえばもう1つ!

「高菜おり」ではないでしょうか?

 

先日、「とんでるワイド」で一緒の、大田黒さんに連れて行ってもらいました!

コツを掴むまでは上手くおれず、力いっぱい収穫…

虫が怖い。どこを折っていいのかわからない。体を動かすので暑さも増して腰も痛くなる…と。

本当に農家のみなさんのありがたさを痛感しました。

(少しの経験で生意気なことすみません)

時間が経つにつれ、手で触って感覚を掴んでポキっと折れる部分が見つかると

楽しくて夢中で収穫をしていました!

収穫の途中で見つけた、てんとう虫もどうぞ。

夢中になりすぎて、1時間ほどでこんなにも…!

もちろん、収穫した後は漬物に。🍽

高菜に塩と唐辛子を順番に乗せて、途中で体重をかけてまた塩・唐辛子を乗せて…!

(最後に塩を入れすぎたのはご愛嬌で😊)

 

完成した高菜で白米をお腹いっぱい食べるのが楽しみです♪

 

これからも、自ら経験をして深みのある人間を目指します!

最近のこと

新年度を迎えました。

あっというまに入社5年目です!

 

6年目にはいった「夕方Live ゲツキン!」

月曜~木曜のMC担当ということは変わりませんが、

この春から気持ちを新たに!内容や構成をブラッシュアップしてお送りしています。


<月曜メンバーで一枚!>


<木曜は「なんでんリサーチ」>

平日の午後6時15分からは、ぜひゲツキン!にお付き合いください!

 

つづいて、少し前の話になるのですが…

先月16日にKABのイベント「KAB駅前フェスタ2024」にお邪魔しました。

県内の民放各局のアナウンサーが揃いました!!


左から KAB 田中杜旺アナウンサー
RKK 後生川凜
TKU 寺田菜々海アナウンサー
KKT 倉本彩アナウンサー
KAB 佐藤由季アナウンサー

写真を見ても分かるように、たくさんのお客さんに盛り上げていただき、

とても楽しいステージになりました!

4局のコラボステージというのは、じつは去年のRKKまつりでも開催したんです!

普段同じ画面に映ることがないメンバーなだけに、やはり特別感があり、

またどこかで実現するといいな~と思っております。

 

 

このイベントから10日後・・・

先月26日にソメイヨシノの開花が発表されましたね!


<先月30日@江津湖>

まだこのときには 4、5分咲きくらいだったのが・・・

あっというまに今月2日、満開発表となりました。

満開発表の翌日雨が降りましたが・・・


<今月3日@熊本城>

少し散ってはいましたが、十分楽しめるくらい花が残っていました✿

 

江津湖にサクラを見に行ったあと、

ある場所に行きました。

そう!熊本市現代美術館で開催中の「ミュシャ展」です。

写真を撮ることができるのも嬉しいポイント!

色使いや絵のタッチが繊細で可愛らしく、ついつい撮りすぎてしまいます!!

「ミュシャ展」はあさって7日(日)までです!!

 

では、

今年度もよろしくお願いいたします~

語り継ぐ

福居万里子です。

 

今シーズン、RKKラジオ 金曜 午後8時から お届けしている『 アナぐらむ 』。

3人のアナウンサーがそれぞれにテーマを持ち寄って、好き放題に語り合うトーク番組です。

 

3月22日(金)の放送では 【 水俣病 】 を取り上げました。

 

この日は、未認定患者の救済を巡る集団訴訟・熊本判決の日。

私たちRKKアナウンサーの多くは県外出身、そして若手も多く、

どこか 〝 水俣病は 教科書に載っている『 歴史 』 ” という感覚になっていないだろうかと、自分自身を含め、モヤモヤした気持ちがありました。

以前このブログにも記しましたが、

百間排水口の樋門撤去をめぐるニュースを深掘り取材したのも、そのような気持ちがあったからです。

 

放送のテーマは “ 語り継ぐ ” 。

水俣病を巡っては、患者やその家族の高齢化が進み、その歴史や実態を語り継げる人はどんどん少なくなっています。

そうした中で、私なりに、アナウンサーとして、アプローチできないかと考えました。

 

そこで挑戦したのが、今回の朗読です。

『 みつこの詩 』 脚本:吉永理巳子・奥羽香織/絵・上月ひとみ

制作/水俣病センター相思社

 

「 子どもたちに伝えていきたい 」という願いのもと、小学生向けの紙芝居として去年3月に完成したものです。

 

主人公・みつこ は、水俣病に翻弄されながらも力強く生き抜いた実在の女性で、脚本を手がけた吉永理巳子さんは実の娘です。

理巳子さんによれば、みつこさん自身も認定患者で、手足のしびれに苦しんでいたといいます。

ただ、そんな姿をことさらに周囲に見せることはなかった、とも仰っていました。

 

朗読するにあたっては、「 方言 」がいちばんの課題となりました。

私は長崎出身で、水俣の人々のアクセントや言い回しには慣れていません。

そこで、みつこの実の娘である理巳子さんが朗読をする場に伺い、それを録音し、何度も繰り返し聞いて自分の読みに反映させました。

理巳子さんは物語の “ 当事者 ” でもありますから、セリフには時折アドリブも盛り込まれていて、より感情がストレートに伝わりました。

アナウンサーは “ プロの読み手 ” ではありますが、

人の心に訴える朗読とは、必ずしも、原稿通りに読むこと や 正しい言葉づかい・アクセント ではないのだと、改めて学ばされる機会にもなりました。

 

水俣病とその歴史について、私には まだまだ知らないことが多すぎます。

そんな私が、誰かに向かって偉そうに語る資格があるとは思っていません。

 

でも、だからこそ、仲間 や みなさんと “ 知る努力 ”を続けたいと思うのです。

今回の放送が、その一歩になっていたら、と願います。

 

『 みつこの詩 』は水俣病の恐ろしさや悲しさだけを伝える作品ではありません。

水俣で暮らす人たちの “ 懸命に生きる姿 ” を、きっと感じていただけるはずです。

紙芝居 『 みつこの詩 』

水俣病センター相思社のホームページから購入可能。

貸し出しもされているほか、無料でダウンロードすることもできます。

同じように制作された紙芝居『 しらぬいさん 』も、ぜひ読んでみてください。

放送中には水俣市民という方からもメッセージをいただきました。

ありがとうございました。

歩いて発見!熊本城

頭が大きいせいでしょうか・・・ヘルメットがズレがち、福居万里子です。

 

TBSの夕方のニュース番組 「 Nスタ 」で、全国各地、ときには海外からも “ ライブ ” な話題をお届けする中継コーナー『 歩いて発見!すたすた中継 』。

2月29日(木)は熊本からの放送でした。

テーマは “ 熊本地震からまもなく8年、熊本城 は 今 ”。

城内で最優先で復旧が進められ復活を遂げた天守閣からは『 すたすた中継 』恒例のクイズを出題!

【 お城としては珍しい “ 緊急時に備えた対策 ” は? 】

① スプリンクラー ② 脱出用シューター ③ 備蓄倉庫

スタジオのみなさんも悩んでいましたが・・・

 

正解は、② 脱出用シューター!

訓練の様子が こちら。

( 写真提供:熊本城総合事務所 )

大天守の3階部分から地上にかけて脱出用シューターがおろされるのです!

高低差は 約20m あるそう。

“ 難攻不落 ” と言われた熊本城、観光客の命を守る準備もばっちり!というわけです。

地上にはシューターを固定するための金具が埋め込まれています。

現在は工事エリアとして立ち入り禁止ですが、開放された暁には足元を探してみてください♪

 

そして、私たち中継クルーは 今回の主役 『 宇土櫓 』 へ。

今年から復旧工事のための解体作業が始まりました。

築城から400年――

敵による侵攻などにも屈することはなく、西南戦争でも焼失を免れたという逸話から、“ 不屈の櫓 ”  と呼ばれている宇土櫓。

それでも、熊本地震では無傷というわけにはいかず・・・

 

今回、工事用の足場まで入ることを特別に許していただき中継しましたが、

屋根の瓦は割れたり落ちたりしているほか、

壁の漆喰が剥がれ内部の竹の骨組みがあらわになっている部分も多くありました。

 

私が初めて宇土櫓を見たのは2016年の夏、当時は福岡で暮らしていて、旅行で訪れました。

( 2016年に撮影。天守閣もまだ手つかずのままでした )

加藤神社の境内から遠目で見ると、損傷があまり目立たなかったため、

「 天守閣や石垣はボロボロだけど、被害が少ない櫓もあるんだ~! 」などと呑気に考えていたのです。

( 2017年に撮影。天守閣の工事は始まりましたが、宇土櫓はそのまま )

 

その後、熊本に来てからも宇土櫓に近づける機会はなかったため、今回はじめて間近で その姿を見て、正直、ショックを受けました。

 

そうですよね。無事なわけ、ありませんよね。

 

8年間、天守閣の復旧をいちばん近くで見守ってきた宇土櫓にも、ついに復旧の手が入ったと思うと、本当に感慨深いというか・・・

思わず 『 これまで よく頑張ったね 』 と声をかけたくなりました。

全国にファンがいる宇土櫓ですから、その現状について気になっている人は多いはず。

熊本市も「 今しか見られない姿を見てほしい 」と考えていて、一般の方にも見学してもらう機会を設けようと検討しているとか。

それが叶った暁には、みなさんも是非その姿を目に焼きつけてください!

 

~ ちなみに ~

今回の『 すたすた中継 』の舞台裏を、近日中に「 夕方Liveゲツキン! 」の中で紹介予定です。

こちらも お見逃しなく!!

“ スロー ” な ニュース ~ 災害報道を考える ~

福居万里子です。

1月13日(土)に放送したRKK70周年報道特別番組『 スローなニュース 』、いかがでしたか。

テーマのひとつが『 災害報道 』でした。

 

長崎県島原市の雲仙普賢岳です。

特別番組の収録後、ふるさと・長崎に帰省することがあり、雲仙岳災害記念館を数年ぶりに訪れました。

1991年の噴火災害では、死者40人・行方不明者3人をだしました。

その中には報道関係者や火山学者、地元の警察官や消防団員、タクシー運転手などが含まれます。

ご存知の方も多いと思いますが、当時のメディアをめぐっては “ 報道の過熱 ” や “ 危機意識の不足 ” が指摘されています。

火砕流に巻き込まれて亡くなったカメラマンが撮影した映像を上映するブースには、来館者の感想を書き込むノートがあり、こんな言葉がつづられていました。

『 当時 父は消防団で、私は不安でした。この映像を見ても腹立たしい気持ちしか沸きません 』

『 犠牲者をだしてまで、やる必要ありますか 』

『 報道関係は傲慢ですね 』

現在、地震や水害、台風に伴う中継や取材においては、どのメディアも安全第一、被災地とそこで暮らす人たちに迷惑をかけないよう配慮している・・・はずです。

それでも “ この取材は本当に、誰かのためになっているのか? ” と、ノートに書かれた言葉が自分自身に突き刺さるような思いがしました。

 

それから、特番の収録は年末だったので、北陸の地震が発生したのは、その数日後のことでした。

発生直後から私は各局の緊急報道から目が離せなくなり、とにかくいろんなことを考えました。

 

大津波警報がでているなか、どんな言葉で、どんな口調で、どんな声色・声量・速さで警戒を呼びかけるのが適切なのか。

実際に津波が押し寄せていて避難を続けている人たちは、ふるさとが火に包まれる映像をどんな気持ちで見ているのか。

道路の復旧が追いつかず “ 今はまだ、個人のボランティアは控えて ” と異例の呼びかけがされるなか、自分に何ができるのか。

 

「 複数のメディアから何度も同じことを聞かれ、そのたびに自分が責められているような気持ちになり辛かった 」

「 “ かわいそう ” で終わらせず、次につながる取材・放送を 」

熊本地震で目の前で家族を亡くした遺族が、発生から8年が経とうとする今、改めて取材を受けてくださったときの言葉です。

 

こうした言葉を、私たちは決して忘れることなく、今後の取材・放送にいかします。

 

ですから、逆に みなさんにも『 “ かわいそう ” で終わらせないで 』という言葉を胸に、

いま報じられている北陸の現状を見てほしいと思うのです。

 

『 報道 』というのは、私たち放送局だけでは成り立ちません。

ニュースを見てくださり、ときに取材対象となる みなさんがいてこその『 報道 』です。

 

速報性、手軽さが喜ばれる “ ファスト ” な時代ですが、

ときに立ち止まり、時間をかけてでも深く考える “ スロー ” なニュースを、みなさんといっしょに紡いでいけたらと考えています。

 

~ おまけ ~

雲仙岳災害記念館にあるカフェ『 GEO CAFE( ジオカフェ ) 』の看板メニュー『 雲仙火山トルコライス 』です。

黒米ご飯は「平成新山」を、地元産の野菜を使ったサラダは「妙見カルデラ」を、雲仙の豚肉を使ったトンカツは「溶岩ドーム・眉山」を表現しているとか。

島原で暮らすの人たちにとって、雲仙岳は恐ろしい火山であると同時に、恵みをもたらす火山であり、“ 誇り ” でも あるのです。

恐ろしい経験をしても なお、この地を離れず、火山とともに生きていく。

そのためには、やはり『 必要以上に恐れない、だからといって、油断もしない 』

ふるさと・長崎が、大切なことを、改めて教えてくれました。

自分に出来ることを精一杯に

西暦2024年 令和6年 辰年
十干十二支では甲辰(きのえたつ)

新しい一年は、元日のラジオ特別番組
「2024新春スタートライン」で、文字通りにスタート。
何年ぶりか思い出せないぐらい久しぶりにミミー号に乗って
(この車種になってからは初めての乗車)
「熊本城内 加藤神社」から「天然温泉 ばってんの湯」へと巡り、
正月を迎えた賑わいをお伝えしました。

2日は定時ニュースをお伝えしながら
RKKラジオ朝の情報番組「Wakey Wakey!」の準備をし、
そして、3日が新年最初の担当曜日。
箱根駅伝の熊本にまつわる“パーセント(%)”など
正月三が日ならではのテーマをお話ししつつも、通常放送でお送りしました。

新しい年の始まりとともにマイクに向かう。
この状況に、大学時代の先輩の言葉が浮かんできました。

「俺たちの仕事はさ、世間様に笑顔になってもらって
福を届けるという点では一緒だと思うんだよね。
だから正月から縁起良く初笑いを届けるために働くわけよ」

その先輩は、近い業界だけど全く違う職業の
だけど、とても尊敬している人で生粋の江戸っ子なのですが、
今、この言葉が再び心に沁みています。
先輩と私は届けているものが異なるのだけれど、
でも、心意気は同じだと思っています。
(先輩に対して烏滸がましいようですが)

自分に出来ることを、出来る範囲で。でも、それを精一杯に。
そう思いながらスタートした2024年です。
今年もどうぞよろしくお願いします。