私ことまさいよしなりが今週お持ちしました音源はこちらです。
「悲しき鉄道員(日本盤・早回しバージョン)/ザ・ショッキング・ブルー」
音楽の制作時に、わざとテープの回転数をいじって効果を狙う
手法があります。例えば音のキレを更に良くしたり、ボーカルを
若々しく聞かせたりするのを目的として、完成した音源をわざと
若干早回しにしてレコード化するという方法が取られる事も。
今日お持ちしたショッキング・ブルーの「悲しき鉄道員」、1970年に
日本でも大ヒットしていますのでご存知の方も多いことでしょう。
実はこの曲、日本でドーナツ盤としてリリースされるに当たり、
アーティストやその他関係者の許可を得ることなくこちらで勝手に
「疾走感をもっと出したい」という理由からマスターテープを早回し
にしてレコードを発売したという、いわくつきの曲なのであります。
懐かしい洋楽をまとめたオムニバスCDなどで今ではこの曲を
比較的簡単に入手出来るのですが、かつてドーナツ盤を聴いていた
世代が「ボーカルの声が低い」「曲がもっさりしている」といった
違和感を覚える例が実際にあり、その理由はまさにこれなのです。
私が計測した結果ですと、本来のテープ速度における演奏時間は
3分01秒、日本のシングルバージョンは2分47秒となっています。
そして日本盤はオリジナルの約1.088倍の速さで演奏されます。
たった約1.088倍とお思いになるかも知れませんが、演奏時間が
14秒も短くなるわけで、音程も半音以上変化する大きな差です。
というわけで今日はその早回しバージョンのほう、日本で発売された
ドーナツ盤の音源でこの「悲しき鉄道員」をお聴き頂きました。
ちなみにショッキング・ブルーは1967年にオランダで結成された
グループ。69年にリリースされ翌年にかけて本国オランダをはじめ
日米でも大人気となった「ヴィーナス」で最も広く知られていますね。
このシングル持ってます。よく聞く「擦り切れるほど聴いた」という文句。私は、一度カセットテープに録音してから「擦り切れるほど聴きました」。
しかし、この曲にもそんなドラマがあったんですねえ。
>前略、中略、後略さん
ちょっとしたことでダメージを与えかねないレコード盤。
大事な自分のコレクションを守るために、まずは
カセットテープに落として聴いたものですよね~。
そのうちカセットのバイアスにもこだわる時代が来て…(略
また、こういった私的なコピーは認められていましたよね。
ともあれ、良くも悪くも大らかに音楽を楽しめた時代でありました。