私ことまさいよしなりが今週お持ちしたのはこちらです。
春の野・山の祭/増永丈夫(藤山一郎)[1921年]
今回は童謡歌手、増永丈夫少年の音源をご用意。
1921(大正10)年の録音で、10歳頃と思われます。
「春の野」「山の祭」という童謡がレコードの片面に
2曲続けて収録されており、勿論これは編集なしで、
実際に録音する時にも2曲通して歌ったものです。
SPレコードには、比較的新しい「電気録音」時代と、
初期の「アコースティック録音」時代があります。
「電気録音」とは現在と同じく音声をマイクロフォンで
電気信号に変えて録音機材へ伝送する方式です。
一方「アコースティック録音」は「ラッパ吹き込み」とも
呼ばれる簡素な方式で、蓄音機の逆の原理です。
朝顔型のラッパに直接音声を吹き込み、その振動で
原盤に溝を刻み込んで録音する、という方法です。
後者のレコードは音質が良くない上に音量も小さく、
そのため相対的に雑音が目立つことになります。
歌唱や演奏に当たっては、とにかく「大きな音」で
吹き込むことを余儀なくされ、負担だったとのこと。
この増永少年の録音もアコースティック録音による
ものであるため、お聴き苦しい点をご了承下さい。
さて、先程から「増永少年」などと呼んでおりますが、
彼こそ、のちの昭和を代表する大歌手、藤山一郎
その人なのであります。これは実に貴重な録音です。