2014年4月18日 我等音楽マサイ族

私ことまさいよしなりが今週お持ちしたのはこちらです。


テネシー・ワルツ/パティ・ペイジ[1950年]

録音のテクニックとして、多重録音というものがあります。
重ね録り、オーバー・ダビングなどとも呼ばれ、これによって
実際の生演奏では決して表現できない音作りが可能に
なります。例えば一人の歌手によって二重唱や三重唱などの
ハーモニーを実現したり、一人であらゆる楽器を録音して
「ひとりバンド」を可能にしたり…などなど、この多重録音を
利用することで音楽の表現がグンと広がることになります。
多重録音という手法が比較的手軽に行えるようになったのは
テープレコーダーの普及によるものです。ご存知の通り、
それまでのレコーディングといえばSPレコードの一発録りで
編集もままならないため、多重録音などはポピュラー音楽の
世界では非実用的でした。しかしテープレコーダーの登場に
よってそれは可能となり、いち早く40年代末にギタリストの
レス・ポールがこの録音テクニックを用い始めたのでした。
そして50年、それまで一般の音楽ファンには全くと言って
いいほど認知されていなかったこの多重録音という手法を、
世界的に知らしめることになった大ヒット曲が誕生します。
それがパティ・ペイジの「テネシー・ワルツ」です。一人による
二重唱は聴き手に大きな驚きと感動を与えました。前述通り
この頃の人々は「重ね録り」などという概念を持っておらず、
そのためこの不思議なレコードを前にして「声がそっくりな
二人が歌っている」「双子ではないか」「一人でハモる特殊な
歌唱法があるのでは」など、様々な憶測も飛び交ったようです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です