2014年4月25日 我等音楽マサイ族

私ことまさいよしなりが今週お持ちしたのはこちらです。

ワインレッドの心/安全地帯[1983年]

歌謡曲・ニューミュージック系の作品における歌詞は、
短いフレーズをたくさん並べて構成されているものが
基本だと言えます。メロディーに、そしてリズムに
歌詞を乗せやすくし、そして時には韻を踏むなどの
技巧を凝らすために短い語句を連ねるという手法で、
特にサビの部分などはそこだけ英語のフレーズが
飛び出したり、同じ語句を繰り返してみたりします。
つまりブツ切りの語句で小気味よさを表現するのです。
しかし、今日お持ちした1983年発表の大ヒット曲は、
歌詞が「長い文章」で書かれています。その曲は、
安全地帯の「ワインレッドの心」。週間チャート1位を
記録するなど、彼らの代表曲に数えられます。この曲、
1番がひとつの文、2番がひとつの文、最後の繰り返し
がひとつの文、合わせて3つの長い文章で構成されて
いるのです。ご存知の通り、文章は「句読点」を用いて
区切りが示されますが、この作品の歌詞は1番、2番、
最後のリフレインそれぞれ、途中はすべて「読点(てん)」
で繋がり、終わりにのみ「句点(まる)」が打てるのです。
ただし2番とリフレイン部分は「倒置法」という表現法が
使われており、(倒置法の例:「咲いたよ、花が。」)直前で
文章が終わっているように思わせるものの、やはり最後に
しか「まる」が打てない構造となっており、実に巧妙です。
ちなみに、作詞はあの井上陽水によるもの。似た例が
極めて少ないと思われる歌詞のニューミュージックです。

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