月別アーカイブ: 2024年3月

語り継ぐ

福居万里子です。

 

今シーズン、RKKラジオ 金曜 午後8時から お届けしている『 アナぐらむ 』。

3人のアナウンサーがそれぞれにテーマを持ち寄って、好き放題に語り合うトーク番組です。

 

3月22日(金)の放送では 【 水俣病 】 を取り上げました。

 

この日は、未認定患者の救済を巡る集団訴訟・熊本判決の日。

私たちRKKアナウンサーの多くは県外出身、そして若手も多く、

どこか 〝 水俣病は 教科書に載っている『 歴史 』 ” という感覚になっていないだろうかと、自分自身を含め、モヤモヤした気持ちがありました。

以前このブログにも記しましたが、

百間排水口の樋門撤去をめぐるニュースを深掘り取材したのも、そのような気持ちがあったからです。

 

放送のテーマは “ 語り継ぐ ” 。

水俣病を巡っては、患者やその家族の高齢化が進み、その歴史や実態を語り継げる人はどんどん少なくなっています。

そうした中で、私なりに、アナウンサーとして、アプローチできないかと考えました。

 

そこで挑戦したのが、今回の朗読です。

『 みつこの詩 』 脚本:吉永理巳子・奥羽香織/絵・上月ひとみ

制作/水俣病センター相思社

 

「 子どもたちに伝えていきたい 」という願いのもと、小学生向けの紙芝居として去年3月に完成したものです。

 

主人公・みつこ は、水俣病に翻弄されながらも力強く生き抜いた実在の女性で、脚本を手がけた吉永理巳子さんは実の娘です。

理巳子さんによれば、みつこさん自身も認定患者で、手足のしびれに苦しんでいたといいます。

ただ、そんな姿をことさらに周囲に見せることはなかった、とも仰っていました。

 

朗読するにあたっては、「 方言 」がいちばんの課題となりました。

私は長崎出身で、水俣の人々のアクセントや言い回しには慣れていません。

そこで、みつこの実の娘である理巳子さんが朗読をする場に伺い、それを録音し、何度も繰り返し聞いて自分の読みに反映させました。

理巳子さんは物語の “ 当事者 ” でもありますから、セリフには時折アドリブも盛り込まれていて、より感情がストレートに伝わりました。

アナウンサーは “ プロの読み手 ” ではありますが、

人の心に訴える朗読とは、必ずしも、原稿通りに読むこと や 正しい言葉づかい・アクセント ではないのだと、改めて学ばされる機会にもなりました。

 

水俣病とその歴史について、私には まだまだ知らないことが多すぎます。

そんな私が、誰かに向かって偉そうに語る資格があるとは思っていません。

 

でも、だからこそ、仲間 や みなさんと “ 知る努力 ”を続けたいと思うのです。

今回の放送が、その一歩になっていたら、と願います。

 

『 みつこの詩 』は水俣病の恐ろしさや悲しさだけを伝える作品ではありません。

水俣で暮らす人たちの “ 懸命に生きる姿 ” を、きっと感じていただけるはずです。

紙芝居 『 みつこの詩 』

水俣病センター相思社のホームページから購入可能。

貸し出しもされているほか、無料でダウンロードすることもできます。

同じように制作された紙芝居『 しらぬいさん 』も、ぜひ読んでみてください。

放送中には水俣市民という方からもメッセージをいただきました。

ありがとうございました。

歩いて発見!熊本城

頭が大きいせいでしょうか・・・ヘルメットがズレがち、福居万里子です。

 

TBSの夕方のニュース番組 「 Nスタ 」で、全国各地、ときには海外からも “ ライブ ” な話題をお届けする中継コーナー『 歩いて発見!すたすた中継 』。

2月29日(木)は熊本からの放送でした。

テーマは “ 熊本地震からまもなく8年、熊本城 は 今 ”。

城内で最優先で復旧が進められ復活を遂げた天守閣からは『 すたすた中継 』恒例のクイズを出題!

【 お城としては珍しい “ 緊急時に備えた対策 ” は? 】

① スプリンクラー ② 脱出用シューター ③ 備蓄倉庫

スタジオのみなさんも悩んでいましたが・・・

 

正解は、② 脱出用シューター!

訓練の様子が こちら。

( 写真提供:熊本城総合事務所 )

大天守の3階部分から地上にかけて脱出用シューターがおろされるのです!

高低差は 約20m あるそう。

“ 難攻不落 ” と言われた熊本城、観光客の命を守る準備もばっちり!というわけです。

地上にはシューターを固定するための金具が埋め込まれています。

現在は工事エリアとして立ち入り禁止ですが、開放された暁には足元を探してみてください♪

 

そして、私たち中継クルーは 今回の主役 『 宇土櫓 』 へ。

今年から復旧工事のための解体作業が始まりました。

築城から400年――

敵による侵攻などにも屈することはなく、西南戦争でも焼失を免れたという逸話から、“ 不屈の櫓 ”  と呼ばれている宇土櫓。

それでも、熊本地震では無傷というわけにはいかず・・・

 

今回、工事用の足場まで入ることを特別に許していただき中継しましたが、

屋根の瓦は割れたり落ちたりしているほか、

壁の漆喰が剥がれ内部の竹の骨組みがあらわになっている部分も多くありました。

 

私が初めて宇土櫓を見たのは2016年の夏、当時は福岡で暮らしていて、旅行で訪れました。

( 2016年に撮影。天守閣もまだ手つかずのままでした )

加藤神社の境内から遠目で見ると、損傷があまり目立たなかったため、

「 天守閣や石垣はボロボロだけど、被害が少ない櫓もあるんだ~! 」などと呑気に考えていたのです。

( 2017年に撮影。天守閣の工事は始まりましたが、宇土櫓はそのまま )

 

その後、熊本に来てからも宇土櫓に近づける機会はなかったため、今回はじめて間近で その姿を見て、正直、ショックを受けました。

 

そうですよね。無事なわけ、ありませんよね。

 

8年間、天守閣の復旧をいちばん近くで見守ってきた宇土櫓にも、ついに復旧の手が入ったと思うと、本当に感慨深いというか・・・

思わず 『 これまで よく頑張ったね 』 と声をかけたくなりました。

全国にファンがいる宇土櫓ですから、その現状について気になっている人は多いはず。

熊本市も「 今しか見られない姿を見てほしい 」と考えていて、一般の方にも見学してもらう機会を設けようと検討しているとか。

それが叶った暁には、みなさんも是非その姿を目に焼きつけてください!

 

~ ちなみに ~

今回の『 すたすた中継 』の舞台裏を、近日中に「 夕方Liveゲツキン! 」の中で紹介予定です。

こちらも お見逃しなく!!